最近よく聞くようになった「減税」政策。
2025年7月の参議院選挙でも、「消費税の軽減」がいくつかの政党の目玉になってました。
でも、ちょっと心配です。
今の日本はインフレ(物価上昇)+財政悪化という難しい局面。
この状況で減税を行えば、円安がさらに進むリスクがあるのです。
過去の世界各国の事例を見ると、「インフレ中の減税」によって通貨の信頼が揺らぎ、深刻な経済危機を招いたケースがあります。
耳障りの良い公約により、日本の未来が心配になってきます。
なぜ「インフレ中の減税」で通貨安につながるのか?
理由はシンプルながら根深いものです。
減税=国の収入減少
税収が減れば、財政赤字は拡大。
その穴を埋めるためには、国債の発行や通貨の増刷に頼るしかありません。
インフレ下では支出も増える
物価上昇により、年金や医療費、公共事業などの政府支出が膨らみます。
信頼低下 → 通貨売り
投資家たちは「財政の持続可能性」に注目します。
収支が不安定になると、「その国の通貨は危ない」と判断され、売られることで通貨安が進行します。
世界の事例から学ぶ
イギリス(2022年・トラス政権)
・インフレ率10%超の中、大規模減税を発表
・財源の不透明さから市場が混乱
・国債が売られ、ポンドも急落
・結果:数週間で政権崩壊
減税 → 財政不安 → 通貨安 → 政権交代という典型的な流れ
トルコ(2018年以降)
・高インフレ下で利下げと減税を断行
・中央銀行への圧力で金利下げ
・通貨リラ暴落、物価急騰、市民は金・ドルに避難
通貨への信頼が崩壊し、外貨準備も枯渇。
FXのトルコリラは悲惨でした。実際、私も高金利に惹かれて買いましたが、痛い目にあいました。
アルゼンチン(繰り返される危機)
・ 給付金や減税を優先する政策
・ペソ安とハイパーインフレを招く
・債務不履行(デフォルト)を何度も経験
さて、日本の今どうなのか?
似た道を歩みつつあるのが、日本の現状です。まだ、兆候があるレベルだと思いますが、止まらなければ危険なのはわかると思います。
・ 物価上昇が続き、インフレ率は高止まり
・政府債務はGDPの2倍以上
・減税が選挙公約の中心。
もちろん、減税がすべて悪というわけではありません。
ですが、「インフレ中に財源の裏付けなく減税」をすれば、市場は厳しく反応します。
その結果、円安・金利上昇などが起こり、私たちの生活にも影響が及びます。
では、私たちはどう備えるべきか?急激な円安が起きれば、日本円の価値は下がり、資産も目減りします。
そこで大切なのが通貨の分散です。
分散投資の例
・ 外貨建て資産(ドル・ユーロなど)
・金(ゴールド)
・海外株式・ETF
・国内株式
・暗号資産(リスクを理解した上で)
円だけに頼るのではなく、さまざまな通貨や資産に目を向けることで、「通貨リスク」への備えができます。
まとめ
現状 :インフレ継続+財政悪化
リスク : 減税による財政不安 → 円安進行
過去の事例: イギリス・トルコ・アルゼンチンで通貨危機が発生
個人の対策 :外貨・金・海外株などによる分散投資
減税は私たちにとって魅力的に映るかもしれません。
でも、その裏には通貨の信用に関わるリスクが潜んでいることを忘れてはいけません。
ちなみに我が家の分散比率は下記です。目指していたというよりも、この様になってしまったのです。つまり、海外が強すぎるということ。
現金 3割
外国株 4割
日本株 2.5割
金 0.5割